美術館の建設は「建物とそれをとりまく自然との調和が重要な条件になる」というコンセプトを基
本に構想し、希望にかなった美術館が誕生した。なだらかな起伏のある三十三万平方メートルという
広大な敷地に、樹木と水をあしらった美術館は、外観もさながら一幅の絵のように美しい。
大日本インキが創業八十年を記念して、三代にわたる社長のコレクションを美術館という形で公開
したものである。八百点の館蔵品は、複数のコレクターだけに内容も多彩に充実している。
創業者の川村喜十郎さんは日本画を好み、尾形光琳や横山大観らの屏風などを多く収集し、孫の三
代目社長は仕事でアメリカに渡る機会も多く、アメリカの抽象画が買いやすかったことなど、コレク
ターの動きや好みによって、様々な分野の作品が集められた。マーク・ロスコの七点の壁画はこの時
代にロスコ財団から直接入手したものである。